北野坂備忘録

主にインストールやプログラミングのメモを載せています。

アカデミアはなぜ尊敬され、そして尊敬されなくなったか

 イタリアの都市国家について勉強する必要があったので、こちらの本を読んでいました。


イタリア都市社会史入門―12世紀から16世紀まで

 で、ここに大学の話が出てきます。
 これが面白い。

 ボローニャには法学部(法学だけの大学)があったのですが、都市における大学の権威は非常に高かった。
 それは、大学がお金を生み出したからです。
 学生がどんどん集まると、それだけ都市に高い経済効果をもたらす。
 本も必要です。中世の本は製作に滅茶苦茶お金がかかるので、これまた職人が潤う。
 あと、法学そのものもお金になりました。中世イタリアでは訴訟が増えていったからです。
 権威を持った法学者は、貴族になれることすらありました。
 だからこそ都市は高い金を払って優秀な法学者を呼び、教師に都市国家の市民権を与え、他の都市に行かないように宣誓させたわけです。

 アカデミアは勉強するからor研究するから偉いのではなく、膨大な富を生み出すから偉かったのです。

 翻って、日本のアカデミアを見てみましょう。
 その都市に学生を集められていますか?
 その都市にお金を生み出してますか?
 もちろんできているところもありますが、できていないところも多いですよね。
 お金を生み出さないアカデミアは、あっという間に権威を失うのです。
 文系の学部がどんどん廃止されていくのは、それがお金を生み出さないからでしょう。

 なぜかイタリアの都市国家本を読んでいるうちに、アカデミアが尊敬される/尊敬されない理由に行きついてしまいました。