北野坂備忘録

主にインストールやプログラミングのメモを載せています。

「科学技術立国」は幻想なのではないか?

 CS、特に機械学習系の研究室はまだ企業とのつきあいが多く優遇されていますが……。
 今、「日本の科学にお金が落とされていない」という話が噴出しています。
 「このままでは科学技術立国を堅持できない」という日経新聞の記事もありました。

www.nikkei.com

 私は、これは逆だったのではないかと考えています。
「日本は科学技術によって経済的に潤った」
 のではなく、
「日本に経済的余裕があったから科学技術に投資できた」
 だけではないか、ということです。

 つまり、「朝鮮戦争から始まる特需によって科学技術部門に投資できた」だけであって、「科学技術部門への投資によって高度経済成長が発生した」わけではないのではないかと考えています。
 「科学技術」によって「立国」したのではなく、「立国」によって「科学技術」が発展した。
 上の記事ではノーベル賞を取り上げていますが、それでいくと「ノーベル賞を取れるような研究をしたから経済が発展した」のではなく、「経済が発展したからノーベル賞を取れるような研究ができた」ということです。

 この理論に従うと、今後中国がノーベル賞の数が増えていき、日本は減っていくと思われます。
 なぜなら、中国は経済的に豊かであり、日本は相対的に貧しくなっていくからです。

 「科学技術」に投資することが「経済の活性」に繋がらないのであれば、「科学技術」に投資せず「経済の活性」に投資したほうが良いということになります。なぜなら、経済が活性して初めて「科学技術」に投資されるからです。

 統計的因果推論に足を踏み込むと、どうしてもこういった、「今まで思い込んでいた原因と結果が実は反対ではないか」ということを考えてしまいます。